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「ここは何処だ!?」

俺は焦っていた。

狭い通りには所々にゴミが散乱しており、薄暗いオレンジ色の街頭が
ポツポツと辛うじてひび割れた歩道を照らし出している。
その薄明かりの下を、粗雑な身なりのガキや乞食のオヤジ、
小汚いインディヘナのババァが、それぞれ死んだような顔で
通りに座り込んだり、フラフラとした足取りで歩いていた。

確実にレッドゾーン。

危険地帯特有の排ガスとゴミと垢とマリファナが混ざり合った饐えた匂いと、
何処からか感じる刺さるような目線が背筋を凍らせる。
恐らく、ここに10分もいれば、身ぐるみを全部剥がされるか、
運が悪ければ殺されて生ゴミと一緒にこの通りに転がっている
かのどちらかだろう。


…そもそも、
俺は何でこんなところに来てしまったんだろう?


事の発端は、ローカルバスに乗ったことであった。

リマのオシャレで安全な新市街
ミラフローレス地区とバランコ地区に昼前から遊びに行った俺。
街を、海辺を、気の向くままに散歩をし、はじめての南半球の風の香りを
胸一杯に吸い込み、日本から見たら丁度対岸に当たる太平洋に落ちる夕日を
目に痛い程焼き付けて、ついでに何枚か手応えのある写真を撮り、
さて、宿のある地区まで帰ろうと、バスに乗り込んだのだった。

DSC_8590.jpg
↑バランコ地区のビーチ。少数のビキニギャルと大量のビキニオバチャンがいました。


俺の宿泊していた宿は、リマ市外の西側ラ・マリーナ地区のタクナ通りにある。
実はリマでバスに乗るのは初めてなのだが、さっき見掛けたバスの側面に、
「Tacna(タクナ)」と書かれているバスを何本か見掛けた。
ということは、あれらのバスに乗れば目指すタクナ通りに帰れるというわけである。
夕方の渋滞で混雑するミラフローレスのバス停ですんなりとバスを見つけた俺は、
颯爽とバスに乗り込むと、「フッフッフ…俺の旅人としてのカンも捨てたもんじゃないな」
とひとりほくそ笑んでいた。


これから起こる
地獄の堂々巡りが始まるとは、つゆ知らずに…。


ipodで「Studio Apartment」のご機嫌なナンバーを聞きながら夜の街をいく。
とっぷりと日の暮れた街には思っていた以上にたくさんの人が夜道を歩き、
大通りには商店や人の大勢の客が集まった美味しそうな食堂が
煌々と明かりを灯し、それらに混じって時折ペルーでは合法となっているカジノが
日本でいうパチンコ屋の如く一際派手なネオンサインで夜の街を彩っている。
そんな景色を車窓から眺めていた…が、途中であることに気が付いた。


このバス、俺の宿と違う方向に向かってんじゃね?


本来ならばひたすら西に向かえば、いくら渋滞していても
30分もあれば目指す通りに着いてしまうような距離である。
それが、途中から明らかに北に向かって進路を取っているのである。
しかも、時計を見るとバスに乗ってから45分を超えているではないか。
だが、この時の俺はあまりにも楽天的だった


「きっと何処かで西に曲がって、また南へ向かうんだろう」


甘かった。


あまりにも、甘かった。




DSC_8531.jpg
↑毎日お世話になったメルカド(市場)の食堂のオバチャン。いい仕事します。


バスの行くままに任せて、そろそろ1時間が経過しようとしている。

流石に少し焦ってきた。

もしかして、違うところに行ってしまうのではないかと、
ようやく危機意識の芽生えた俺は、車掌に「タクナ通りまで行くんだよな?」
と尋ねた。小気味よく「Si!!(そうだ)」と言う返事が返ってきた。
どうやら、目的のタクナ通りまで行くには行くらしい。
「じゃあ、タクナに着いたらおしえてくれよ」と言うと「Si!!」と彼は頷いた。

バスに乗ってから1時間半を超えた。

目の前に、旧市街のセントロ(中心地)らしき広場と大きな建物が見える。

カバンの中に入れてあった某「歩き方」を引っ張り出し、
周囲に見える建物や公園から、自分のいる位置を割り出す。


うん、間違いない。


ものスゲェ北に来ちゃってる。


もうもこのバスは、タクナ通りの手前にあるブラジル通りを北東に向かって曲がり、
そのままひたすら、宿からの距離で言えば
5km程のところまで来てしまった
ようだ。

降りて反対車線のバスに乗るか、
それともこのまま乗り続けるか


迷った。

ちょうどそのとき、俺の横を車掌が通り掛ったので、再び聞いてみた。

「オイ、このバスは本当にタクナまで行くのか!?」

「Si!!」

DSC_8577.jpg
↑ブランコ地区のセントロ。穏やかな雰囲気。


だが、俺はこのとき知らなかった。


タクナ通りが2つあるという衝撃の事実を。


やがて旧市街のセントロを抜けたバスは、
途端に人通りの少なくなった大通りを超えて、大きな橋に差し掛かった。
橋の下には高速道路らしき片側4車線くらいの大きな道と、
殆ど雨の降らないリマの街とは思えない程豊富な水をたたえた川が流れていた。

もういちど地図を広げてみる。
市内の北川に「Rio Rimac(リマック川)」と書かれている。


違う。

確実に、違う。



このバス、俺の行きたいとこに行くバスと、絶対違う

ここまで来て、ようやく確信した俺。

が、時は既に遅かった。


今まで走っていた大通りを突然右折し、薄暗い小道に入るバス。
みるみる内に雰囲気が暗くなり、街並が小汚くなってきた

マズい…。

DSC_8556.jpg
↑リマ名物、「恋人たちの公園」ホントに恋人たちがイチャイチャしている。
 えっ?野郎3人で行きましたが、何か?




車掌を捕まえて、「オイ、本当にタクナまで行くのか!!??」と尋ねると、
早口のスペイン語で何かまくしたてて、目の前を指差した。
どうやら、「次のバス停で降りて、右へ曲がれ」と言ってるようである。
降りろっつったって…。周囲の雰囲気は明らかに怪しい
治安の悪い地区に入ってしまったのは間違いないようだ。
反対方向に向かうバスに乗ろうにも、今走っている道は一方通行
逆方向に向かうバスを捕まえようにも、
何処でバスに乗れるのかさえ分からない


ピンチだ。


南米2日目にして、


早くも大ピンチだ。


えぇぇぇえええい、
なるようにしかならねぇ!!!!


ここで身ぐるみを剥がされたって、
自分のバカさと運の悪さを嘲笑するだけだ。
無傷で済んだらいいネタになる!!

そうしてバスを飛び降りたのが、
冒頭で書いた場所である。

手元には命とパスポートの次に大事なカメラが2台も入った
リュックサックがある。万が一、誰かに襲われたとき、
俺は果たして、コイツを死守出来るのか!?

冷たい汗が背中を伝った。


つづく。

DSC_8651.jpg


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